膠原病友の会に入会して
確定診断って感じでもなさそうですが、結節性多発動脈炎(PAN)という膠原病に分類される病名がついたのを機に膠原病友の会に入会しました。『膠原病ハンドブック』と機関誌のバックナンバーをどっさり本部から送っていただきました。
IBDの患者会もそうなのですが、会報に医療講演会の講演録が掲載されいたりするので、とても勉強になります。それだけでも患者会に入る価値があると思ったりしています。
今回取り上げるのは、2017年のシェーグレン症候群に関する講演で、まさに私が一番知りたかったことが書かれていました。
シェーグレン症候群における間質性膀胱炎
日大の武井正美先生のご講演内容を引用します。
過活動性膀胱で泌尿器科にかかって全く逆の作用をもつ薬が出されて、乾燥症状が強くなった方もおられます。さらにシェーグレン症候群の場合には頻尿を起こす間質性膀胱が起こることがあり、これは膀胱が硬くなって容量が少なくなり頻尿となる状況です。間質性膀胱と診断されずに過活動性膀胱という診断で、シェーグレン症候群と全く反対の薬がでていることもあります。また過活動性膀胱の治療として精神科に回され抗うつ剤をたくさん出されて乾燥症状が強くなることもあります。間質性膀胱の治療としては、膀胱に生理食塩水を入れて麻酔をして広げる拡張術があります。
SNS上でも間質性膀胱炎(IC/BPS)とシェーグレン症候群(SjS)を併発している方をお見かけすることがよくあります。私の観測範囲だと、偶然かもしれませんが皆さん非ハンナ型間質性膀胱炎(NHIC)のようです。
過活動膀胱の第一選択薬は抗コリン薬やβ3作動薬です。私もトビエースの抗コリン作用による口渇から知らず知らずのうちに多飲となってしまい、膀胱に負担がかかっていたことは否めません。
間質性膀胱炎の診断がついた後も、疼痛を抑えるのに抗うつ剤のトリプタノールを採用するのが一般的で新しいガイドラインでもこれが薬物治療で唯一の推奨グレードBです(ちなみにAはないので、第一選択薬といっていいでしょう)。これまた、強い抗コリン作用があり、私は飲めません。
SLEにおける間質性膀胱炎(ループス膀胱炎)
なおSLEでも間質性膀胱はありますが、この場合は腸の症状も一緒にでるループス腸炎というものです。これはステロイドの大量療法が必要です。シェーグレン症候群の間質性膀胱の場合はステロイドは効きませんので、SLEとシェーグレン症候群の間質性膀胱は病態が違っていて治療法も異なります。また間質性膀胱だけで判断すると更年期でも起こるものもあるので、しっかりした専門医の判断で治療方針を決めることが必要です。
SLEのループス膀胱炎のことも気になっており、別の医療講演会で先生に質問したことがあります。私はほぼ同時期に大腸と膀胱に潰瘍ができたので、もしや・・・と思ったからです。その際も「ステロイドは効いた?手術だけでよくなったのなら、ループス膀胱炎じゃない」と言われました。
ループス膀胱炎の方すべてがハンナ型間質性膀胱炎(HIC)というわけでもなさそうですが、何度も潰瘍焼灼を繰り返し、大変な困難を抱えていらっしゃる方のお話を伺ったこともあります。
私の場合、膀胱水圧拡張術と潰瘍焼灼で苦痛の9割方は取り除かれたわけですが、典型的なHICだけ(膠原病を併発していない)の所見や経過とも少し違うようです。
いずれにしても、なんせ間質性膀胱炎そのものが膠原病の先生にとっても珍しい病気なので、泌尿器科サイドの治療概念を共有されていないようですし、よくわからない世界です。